WARU006

リリックシアターゴーイング2005参加作品
「鉄コン筋クリート」
原作 松本大洋

脚本 劇団わるだくみ

演出 佐藤正徒

 

2005年11月5日(日)

長岡リリックホール シアター
15:00~ (総観客数164名)

 

あらすじ
ソコカラナニガミエル?

純粋な力を信じるクロ 純粋な心を信じるシロ ふたりの悪童が、悪のはびこる宝町を舞台に繰り広げる痛快アクション!!

昔ながらの義理と人情が支配する町、宝町。この町を根城とし、誰にも支配されず自由に飛び回る「ネコ」と呼ばれる二人の少年たち。
その名は「クロ」と「シロ」。
誰よりも宝町を知り尽くしていたネコだったが、その宝町に「再開発」と呼ばれる変革の波が迫ってくる。町に押し寄せる退廃。その波の中、ネコたちはどこへ向かうのか?

 

CAST
クロ  岡田麻衣子
シロ  陶山悠子
沢田 山田好宏(劇団一発屋)
藤村 yaji
木村 佐藤正徒
組長 高野裕
蛇   山田亜矢子
朝  目黒大樹
夜  ちー
老人   〃
木村の女 佐藤美樹
殺し屋
ジョイントアクションクラブ

 

スタッフ
演   出 佐藤正徒
舞台監督 山宮ゆう子

制   作 山田亜矢子
アクション監督 相木隆行
宣伝美術 delmonte 峰村恵利子
チラシデザイン リバティーデザインスタジオ
音   響 星野武
照   明 劇団THE・風・FOU
メ イ ク  石原渚
ムービー 上杉一隆

(演劇製作集団あんかー・わーくす)
協   力 ジョイントアクションクラブ
       演劇製作集団あんかー・わーくす
       劇団THE・風・FOU
        リバティーデザインスタジオ

 

主宰所感
公演後、やはりまたまた賛否両論を巻き起こした公演
いったいこんな片田舎の長岡で細々とやっている劇団の何にこんな話題性があるのでしょうか?未だに疑問ですが、やはりこの作品自体に十分な話題性があったのだと思います。
しかし今回は全くと言っていいほど稽古に顔を出していなかったので、改めて自分の劇団を客観的に見ることができました。
「いやあー。でかくなったなあ」と、お父さんのような気持ちでシミジミ観ていた感があります。
たった5人から始めて、スタッフのセミプロ「あんかー」さんたちと出会い、アクションのプロ「ジョイント」さんたちと出会い。。。こんな小さな街だけど、出会うことによってこんなにも大掛かりで大きな舞台を作れるようになったんだなあ。。。と。
演技はマダマダでございました。アクションもレベルに差がありました。
が、リハーサルで客観的に観た俺のハートを熱くした舞台であったことは確かでした。
叩かれて、叩かれて、強くなれ。
公演後はだいぶ凹んでいたけど、まだまだ膝はついていません。

わるだくみが新しい何かを掴んだ。
そんな気がした舞台でした。お疲れ様でした。

 

パンフコメント
あいさつ
演出 佐藤正徒

本作「鉄コン筋クリート」、原作は松本大洋の漫画(小学館刊)です。
以前から、団長が舞台でやってみたいと言っていたものですが、自分は読んだ事のない作品かつ作家でした。
独特の画風とカット、深い世界観の漫画だなあ、というのが初見の印象で、カッコいい感じだけれども一度読んだだけではよくわからない…それが漫画「鉄コン」の感想です。
で…。実のところ、未だに原作の松本大洋が創った鉄コンの世界は理解が及ばない所が多いです。
台詞や画、登場人物の全てに意味があり、話の展開がそれぞれ伏線となっているようで整理しにくいように思われるからです。
それが舞台上でどんなカタチになるのか、本番まで自分でもわからないです。逆にどうなるのか楽しみでもあります。
作品の中で、とある町=宝町に開発という変化が起きます。その変化によって、町に住むそれぞれの人間も変化していきます。
自分の居場所を失ったり、別の場所に求めたり、そこから逃げたり…様々に住んでいる人は動きます。
抗ってみたり、傍観してみたり、飲み込まれたり、変化に敏感に気付いたり、気付かなかったりしています。
自分の好きな場所が、そのように望む・望まないとに関わらず、どんどん変わっていく事。それを人はどう思うのでしょうか?
変化にあわせて乗っかる事も大事でしょうし、変化に逆らって昔のままを願う事も大切な気がします。
ただ、個々人がどう思おうと町は絶えずスクラップ&ビルドされて変化していきますし、その結果、町に住む人々の生活やモノの考え方も(意識せずとも)変わるのではないでしょうか。
劇中の登場人物達は、そんな変化の渦中にある宝町で、それぞれの立場で生活しています。
魅力ある個々の登場人物の気持ちを、なんとなく感じてもらえたら幸いです。
本日は、ご来場いただき、ありがとうございました。

 

「旅路の果てに観たものは」
主宰 高橋直也

えー。本日は劇団わるだくみ第6回公演「鉄コン筋クリート」にお越しいただきまして誠にありがとうございます。 
どんな作品になっているか、私自身もよくわかりません。
なぜなら今回は監修として、最初の台本作りを手伝っただけですので・・・

そのくせ、この題材を持ってきた張本人は私だったりします。
そして自分の都合で稽古に来れなかったりして、演出に任せっきりだったりします。  

だってスゲーやりたかったんだもん。

32にもなって可愛く駄々こねるつもりはありませんが、この漫画と出会った時から舞台は頭に浮かんでいたんです。セリフといい、キャラの色といい、宝町の世界観が出せれば格好いい舞台になる。そう思いました。
果たして今までそんなこと思って実行した劇団があっただろうか?著作権申請の時に解ったのですが、過去にプロの劇団「黒テント」がやっていたことを知りました。うあ。先越された。かといってその劇団のマネをするつもりはありません。自分達の描いた「宝町」住み慣れた町を舞台で表現できればいいのですから。 
それから稽古途中で面白いニュースを聞きました。「鉄コン筋クリート」が、ハリウッド映画になる...知ってか知らずか(知らない)そんなリアルタイムなブームの予感がする作品になってしまいました。
演出は今回初演出のSATOO副団長です。彼は旗揚げ、いやその前の劇団お手伝い時代から2人で芝居作りをやってきた仲です。一番私の感性や作品の作り方を知っている人物です。わるだくみになってからは、演出しかしない私の影となり、舞台、小道具、大道具、照明etc...と、フォローしてきてくれました。
作品に関しては、きっと私の求める方向へ持っていってくれるだろうと思います。しかし、今まで人一倍、いや5倍は裏の仕事をやってきた彼に全てを任せてしまったので、ぶっ倒れるんじゃないか?と心配していましたが、クリンチとかロープに絡まりながらも何とかダウンせずに頑張ってくれたようです。団員もそんな奮闘している彼を一生懸命フォローしてくれたようでした。
「可愛い子には旅させろ」と言いますが、ホント、可愛くは思っていませんが、こんな超大作の旅をさせてしまって申し訳なく思いました。

はてさて、旅させた結果...心配をヨソに全然立派にシーン作っておりました。
俺...いらなくね? 
そんな一抹の寂しさを感じながら、この公演を観ている私の気持ちを背中に感じながら、ご覧いただければと思います。

痛快活劇!「鉄コン筋クリート」始まりでございます。
本日はご来場、誠にありがとうございました!!

舞台写真

当日配布パンフレット